米国に本社を持ちグローバルに展開している医療機器メーカー様は、現在、鈴与株式会社(以下、鈴与)の医療機器製造業(包装表示保管)サービスと配送センターサービスをご利用頂いております。
こちらの会社様は、設立当初より自社オフィスで製造作業や出荷業務の対応を行っていました。しかし、会社が急激に成長するにつれ物量が増加し、スペース・人員確保の点において大きな課題を抱え、自社対応の限界を感じており、急速なビジネスの拡大に対応するための物流業務のアウトソースとロジスティクスの一元管理をご検討され、鈴与へとこれらを委託いただきました。
今回は製造業(包装表示保管)・配送センター業務のアウトソース先の選定から鈴与に委託を決定するまでの流れについて、物流のご担当者様にお話をお伺いしました。
物量の増加。自社オペレーションではまかなえない。
当社は、米国に本社を持つグローバル企業の日本法人です。
米国に本社を構え、本社及び世界各国のグループ全体で従業員は10,000人を超え、連結売上高はUS$20億ほどのグループ規模になります。
業界において、当社はパイオニア企業であり、業界をリードするグローバル企業です。米国本社及び世界各国の現地グループ会社は、独自開発技術を融合した装置・システムの販売活動を世界各国にて展開しており、これまでに600万人を超える患者様の治療にご利用頂いております。
当初は自社のオフィスで出荷の対応を行っておりました。ラベル貼付や添付文書の封入などの製造作業、出荷リストの作成など、私たちの従業員が本来の業務の傍らで出荷業務を行う、というような状況でした。自社のオフィスで医療機器製造業の登録と医療機器販売業の許可がありましたし、オフィスフロアも割と広いスペースを持っておりましたので、自分たちでオペレーションできているのであれば他社に委託する必要はない、という考えだったんですね。
しかし、ビジネスが拡大し販売台数が増加してくるにつれて、在庫を保管するスペースがなくなってきました。また、人についても5年前までは30名程度の規模だったのですが、この数年で大きくビジネスが成長してどんどん人も増えていったんですね。このような状況の中で、自社では今後の物流業務に対応することができない、どこかに委託しないといけないのでは、という流れになったんです。
そうですね。物量が増えてきたことで在庫を保管する物理的な場所がなくなってきて自社で対応できない、というのが1番の課題でした。
その他としては、ビジネスが拡大してきた中で従業員それぞれが本来の業務にもっと対応しなくてはならず、製造作業や出荷作業にかけられる時間が少なくなってきたこと、また当時は医療機器製造業に関してあまり知識のないものが製造作業の対応をしており、品質に関する課題もあったと思います。
選定基準に当てはまり、配送センター立ち上げに向けた対応力のある委託先を探していた。
来期に向けた予算を考えるタイミングで、本格的に物流業務のアウトソースを検討する動きをはじめました。私たちはグローバル企業なので、アジアの統括部門に対して自社オフィスにおける物流業務は難しいためアウトソースをしていきたい旨を伝え、実際に社内の中で誰が中心となって進めていくのかなど、社内での調整を夏前から進めていきました。
その後、どういったスケジュールで進めていくか、アウトソース先の選定基準、声掛けする会社さんの決定など社内での打ち合わせを進めまして、その年の秋口ごろに各会社さんに見積依頼をさせていただいたと思います。
翌年明けから委託先での運営を開始することを目標としておりましたので、10月中に最終的なご提案書・見積書をいただいてからは1か月弱で業者を決定して、開始までの準備を行っていったという流れですね。
選定基準としては、大きく4つありました。1つ目はメディカルデバイスの取扱実績があるか、という経験や実績の有無です。2つ目はロケーションです。全国への配送拠点となりうる関東エリアでかつ拠点や港湾からアクセスが良いところ、という立地で検討しておりましたね。3つ目はコスト面です。保管料や作業料、配送料など全体で見たコスト感も重視しておりました。4つ目はISO認証を取得しているかどうか、という条件がありました。
このような基準のもと、鈴与さん含めて4社にお声がけさせていただきました。鈴与さんにはHPを経由して問い合わせさせていただいたと記憶しています。
まずは、先ほど申しあげた選定基準に当てはまっていた、ということです。鈴与さんはISO13485:2016の認証を持っておりましたし、コストにつきましても全体感で見ると安すぎず高すぎず、競争力のある価格だったと記憶しております。
また、目標としていた期日から業務が開始できるかどうか、というのが1つ大きなポイントでした。その時期に開始できるスペースがあるかどうか、配送センター立ち上げに耐えうる人員がいるかどうか、そうした立ち上げの経験値、といった点を考慮した際に、営業担当者さんに対する信頼があったのが鈴与さんだったと思うんですね。業者決定後から1月の立ち上げまでは、実質1か月半程度しかなかったと思うのですが、そうした短い期間の中でやっていただけるという信頼感がありました。提案をしていただいた時点で、医療機器製造業に関する品質管理や手順書の修正などの調整に関する動きを含めて、実際に業務開始するまでの流れが見えていた、というのが大きな決め手だったのではないかと感じています。
物流業務一本化の実現。
医療機器物流の専門スタッフのおかげで、安心感をもって委託することができている。
もともと抱えていたスペースや人員的な課題を解決できたことは、アウトソースしたことで得られたメリットでしたね。また、鈴与さんに委託させていただいたことで、在庫管理や入出荷業務、製造作業も含めてトータルで全て対応いただけるという、物流業務の一本化というのは私たちとして大きなメリットだと感じています。
品質面に関しましては、これまでお客様に商品を届けられないといったミスはありませんでしたし、保管している商品も大事に扱っていただいております。この数年にわたってビジネスを拡大することができたのは、物流面で支えていただいたおかげだと思っております。安心して業務をお任せできるのは、医療機器物流に関する専門スタッフや責任技術者を経験したことがある営業担当者さんによるサポートが大きいと思いますね。特に、医療機器製造業に関する業務や手順書やマニュアルによる品質管理などは、こうしたスタッフの方がいるのといないのでは、安心感が大きく違うのではないでしょうか。
そうですね。鈴与さんは、私たち医療機器製造販売業者からの要望については十分に対応していただけていると感じています。
一方で、私たちが医療機器製造販売業者としての経験値や物流に関する知識を積んでいくことにより、視野が広がってくると感じています。鈴与さんの倉庫現場を見学させてもらったり品質に関する社内教育を行ったりして、私たち自身も医療機器物流の品質向上に寄与できればと思っていますので、お互い議論をして品質面を高めていきたいですね。
より強固なパットナーシップ関係を目指して。
ここ数年で私たちの物流体制が整ってきて、アジア全体で日本の物流をどうしていくか、といった話は必ず出てきます。その時に、“鈴与さんは他社と比べてサービスが良いんです”、“私たちと鈴与さんは強固なパートナーシップ関係にあります”、と自信をもって言えるような関係性を継続していきたいと思っています。今後もお互い良きパートナーとして協力し、先のことを見据えた関係性を築いていきたいですね。
- ● ビジネスの急成長により、自社物流ではスペース・作業ともに対応しきれなくなった
- ● 医療機器製造業の知識を持った社員が少なく、製造・物流品質に不安を感じていた
- スペースや人員的な課題を解決し、製造業務を含め物流を一本化したことで業務の効率化を実現!
- 医療機器物流専門スタッフによる柔軟な対応と適切な品質管理で、物流面からビジネス拡大をサポート!