小型脳波計の活用推進を模索‐睡眠薬や抗うつ薬の開発・評価に

 ベンチャー企業のスリープウェルは、開発した高性能小型脳波計「スリープスコープ」を医薬品の開発に活用できるとして、製薬会社との連携強化を模索している。睡眠時の脳波を容易かつ正確に測定し、睡眠の質や不眠の種類などを評価できる同機器は、睡眠薬の開発に役立つという。また、睡眠時の脳波が精神疾患のバイオマーカーに成り得るとして注目を集めており、将来は抗うつ薬の開発や評価にも活用できる可能性があるとしている。

 同機器は、睡眠時の脳波を経時的に記録。そのデータをもとに脳波を[1]覚醒[2]レム睡眠[3]浅いノンレム睡眠[4]深いノンレム睡眠――の4段階に分類し、就寝してから目覚めるまでの経時的なパターンを描き出す。そのパターンを解析することによって、不眠の有無や、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害など不眠の種類、睡眠効率などを評価できる。

 持ち運び可能な手のひらサイズの大きさで、額と耳の後ろの2カ所に電極を貼って就寝するだけで睡眠時の脳波を測定可能だ。入院を伴う上、多数の電極を装着するため拘束感が強く、測定時全国約100カ所でしか測定できない既存のポリグラフィー(PSG)検査に比べ、自宅で容易に測定できることが特徴だ。

 精度はPSG検査と同等。それを示した論文の投稿を準備中だ。2013年には医療機器として認証されている。

  同社は、同機器を数百台保有。要請に応じて各社や医療現場に貸し出し、そのレンタル料とデータ解析料を主な収入源にしている。現在は、快眠商品を開発する食品メーカーや、臨床現場の医師が利用するケースが多い。

 医薬品については、市販されている一般用医薬品の睡眠薬の効果を評価するのに使われた実績がある。このほか、臨床現場の医師からの依頼で、各種医療用医薬品が睡眠に及ぼす影響を評価する場合もある。

 これまでは「製薬会社との接点は少なかった」(吉田政樹社長)が、同社は医療用医薬品の開発にも、同機器を積極的に活用してもらいたい考えだ。主な対象は睡眠薬の開発。同機器を使って、入眠障害や中途覚醒を減少させるなどの客観的な評価を行える。自宅で容易に測定できるため、多数の被験者を集めやすく、他の薬との優位性を明らかにしやすい。開発のスピードを早めるのにも役立つ。コストも安く済むという。

日米で特許取得


 一方、睡眠時の脳波が精神疾患のバイオマーカーになる可能性があるとして注目を集めている。臨床医の指摘を受けて、同社が保有する健康成人や各患者の睡眠時脳波データを解析したところ、精神疾患患者には共通する特有の脳波パターンが認められた。同社は、精神疾患の診断に同機器を使えるとして、日米で特許を取得した。

 現在、近畿圏の医系大学と共同で研究を実施中だ。うつなど気分障害の患者を対象に薬物治療を行い、その前後の睡眠時脳波の変化と、医師が評価した疾患の改善度が一致するかどうかを検証する。

 精神疾患を客観的に捉えるバイオマーカーは十分に確立されていない。客観的な指標によって、精神疾患の有無、治療の改善度、薬の効果などを評価できるようになれば、その影響は大きい。「海外発の診断基準が多い中、日本初の診断基準を示せるのではないかとして、この領域の医師らが注目している」と吉田氏は語る。

 エビデンスの確立に取り組んでいる最中だが、「早い段階でこの動きを日本の製薬会社に知っておいてほしい」と吉田氏。将来、有効性の高い抗うつ薬の開発や、市販後薬剤の有用性再評価などに、睡眠時脳波を活用できる可能性があるという。

 同社は、公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所の基礎研究の成果をもとに2010年に設立されたベンチャー企業。

薬事日報より

受付:9:00〜18:00 (土・日・祝祭日除く) 担当:大石・吉崎

  • ISO認証・取得ライセンス一覧
  • 医療・化粧品物流ブログ
  • 医療・化粧品物流用語集
お役立ち資料ダウンロード
フリーダイヤル 0120-998-094
9:00〜18:00 (土・日・祝祭日除く)
お問い合わせはこちら
お見積・資料請求はこちら