PIC/S時代が本格始動‐PMDA・櫻井部長「まずリスクベースの議論を」

製造所の「哲学」求める


 医薬品の製造・品質管理基準(GMPの国際的な整合性を図る規制当局の枠組み「医薬品査定協定・査察協同スキーム」(PIC/S)に、今月1日から日本が正式加盟した。既に製造業者の査察に関してPIC/SのGMPが世界標準となりつつある中、日本は世界45番目の加盟国となった。査察を実施する 医薬品医療機器総合機構(PMDA)品質管理部の櫻井信豪部長は、「PIC/Sガイドラインにとらわれるのではなく、加盟をきっかけに、まず自社内でリスクに応じた品質保証の考え方をしっかりと議論してほしい」と話している。


 PIC/Sの加盟は、世界標準のGMPをクリアした品質の高い医薬品を日本国内に流通させることにつながると共に、日本の GMP査察レベルが世界的に認められ、製造所の信頼性も向上するメリットがある。

 これまでに日本のGMPとのギャップ分析を行ったところ、PIC/Sガイドラインの品質確保の手法とほとんど差がないことが判明。既に厚生労働省からの通知や事務連絡で、PIC/Sの考え方の取り込みを図ったほか、リスクマネジメントの概念や製品品質の照査など6項目については、拘束性の高いGMP施行通知に新たに盛り込む改訂作業で対応した。

 櫻井氏は「当面の措置は終わり、実際の業務上の対応もできている。今後はガイドライン改訂の動きを把握していかなければならない。特にインパクトの高いものは早めに把握していきたい」と課題を挙げる。現在、PIC/Sでガイドライン改訂が提案されている項目では、「無菌医薬品の製造」「バリデーション」等が日本に大きな影響を与えると見られている。

 PIC/Sに加盟したことで、全てPIC/Sガイドラインに準じる必要があるわけではない。櫻井氏は「既に日本の製造所では、PIC/Sと同等レベルのGMPが理解され、品質保証が行われている」としつつ、最近のGMPの考え方が“リスクベース”にシフトしていることを踏まえ、「むしろ自社でリスクをきちんと評価した上で、PIC/Sの手法通りでないとしても同等の結果が得られるという点について、製造所としての考えを査察官に説明してもらいたい」と求めている。

 コスト面から海外での製造が増加している現状にも言及。「最終的に日本に流通させるので、インドや中国等の海外から原薬を購入する製造販売業者も、しっかり日本の法令を現地の製造所に理解させるようにしてほしい」と促している。

 ただ、国内の中小製薬企業や製造業者にとって、施行通知に盛り込んだリスクマネジメントの概念等になじみが薄いのも現状。PMDAは昨年、品質マネジメントシステムの重要な要素を占める製品品質の照査について、業界向けにモックを作成し、継続的な改善を促している。そのため、世界的な流れであるリスクベースの対応についても、日本製薬団体連合会に調査を行った上で、PIC/Sガイドラインの周知に向け、行政側として対応を考えていく予定だ。

 櫻井氏は、「全体的に小規模メーカーにとって、PIC/Sガイドラインを自分たちの製造所に反映し、運用していくというのは、慣れていない面があるのではないか。そこをどうやるか、PMDAが考え方を示していく等の対応が必要ではないか」との考えを示す。

 PIC/Sは、様々な最新の品質保証の考え方をタイムリーに取り入れており、日本に流通させる医薬品についてもグローバル品質を維持していく必要がある。櫻井氏は「国内に流通させる医薬品の品質が世界標準でないということでは、最終的に使用する国民が被害に遭う。それを避けるために、拘束性を高める手立てを講じていかなければならない」と強調する。

 今後、PIC/S加盟によってGMP査察が厳しくなるとの見方もあるが、櫻井氏は「世界の主流であるリスクに応じた対応をしてもらうことがカギになる。PIC/S加盟をきっかけに、製造所の中でリスクがどこにあるのか、まずは社内でしっかり考えてもらいたい。潜在的なリスクに対して深く議論し、是正措置をよく考えた上で、われわれ査察官と議論してほしい」と話している。

 その上で、製造業者に対し、「査察で指摘が少なければいいということではなく、われわれとの議論を通じて品質保証を高めるきっかけにしてもらい、自分たちのメリットとして新しい取り組みに生かしてほしい」と要請した。

薬事日報より

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