[メディカル版]医療・介護用ロボットの近未来を紹介

 現状のままでは快適な生活が不可能な寝たきり・要介護者の現況を解決するための期待のロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)の現状と今後の展開が、6~8日の3日間、大阪国際会議場で開かれた第14回日本抗加齢医学会総会で紹介され、参加者の興味を引いた。また、加圧トレーニングが、高齢者においても安全に筋肉増強、筋肥大を来すトレーニング法であることも併せて報告された。


 HALは、大学発ベンチャーのサイバーダインが人間の身体機能の拡張、および増幅を目的として開発したロボットスーツだ。

 HALには、生体電位信号から人間の意思を読み取り人間の思い通りに動く「随意的制御システム」と、人間のような動作を実現することができるロボット的な「自律的制御システム」が搭載されており、これらの制御手法を混在させることで、身体機能の拡張、増幅、サポートを行う。

 HALのフレームは身体の側面に骨格を有する外骨格型で、パワーユニットはヒトの各関節部分に取り付けられる。各関節には、角度センサが内蔵されており、関節角度を計測する。さらに、CoPを検出するための床反力センサ、筋肉を動かそうとするときに発生する微弱な生体電位信号を皮膚表面で読み取るための生体電位センサなども内蔵されている。

 サイバーダインは、サイバニクス技術が駆使されたロボットスーツHALを、医療・介護・福祉、重作業、エンターテインメント等で展開するために設立された筑波大学発のベンチャーである。

HALによる機能改善実例を紹介


 「ロボットスーツHALの最前線」をテーマに講演した山海嘉之氏(筑波大学大学院システム情報工学研究科・サイバーダイン)は、HALの機能メカニズムを「動作意思を反映した生体電位信号によって、動作補助を行うロボットスーツHALを用いると、HALの介在により、HALとヒトの脳・神経系と筋骨格系の間で人体内外を経てインタラクティブバイオフィードバックが促され、高齢化に伴い増加してくる脳・神経・筋肉系疾患患者の機能改善・機能獲得・機能再生が促進される」と分かりやすく解説。その上で、脳卒中患者やポリオ患者のHALによる機能改善実例を紹介した。

 山海氏によると、「脳卒中を2度も発症し、医師から「歩行獲得は困難」と診断された片麻痺患者(女性)は、2週間麻痺状態で動けなかったが、HAL装着により歩行機能が回復し、現在ではジョギングも可能になった」

 さらに、「生後11カ月でポリオに感染し、以後、50年間、麻痺脚が全く動かなかった男性は、HAL装着で50年ぶりに足を動かすことができた」という。

 脳脊髄炎で4年間寝たきりの患者では、「BOTOX薬とHALの組み合わせにより、数週間で歩き始めた」実績もある。

 山海氏は、サイバーダインがHALにおいて、「欧州全域で医療機器CEマーキングを取得し、世界初のロボット治療器として販売・流通を可能にした」ことにも言及。CEマーキングの取得後、ドイツでは昨年8月、HALによる機能改善治療を公的労災保険の適用対象に決定。今年3月には、主導的中核13病院のHAL導入が本決まりとなり、順次、ドイツ全域の全ての病院での適用が拡大されていく方向にある。

 ドイツのHALによる基本治療は、1治療パッケージ(週5回・3カ月の計60回)が患者1人当たり3万ユーロ(約420万円)となっており、全費用が労災保険でカバーされる。ドイツ国内の適用対象者数およそ100万人のうち、現時点では1%程度が対象となっている。サイバーダインは、日本で昨年3月からHALの治験を開始し、米国では数カ月後のFDA申請を予定している。

 山海氏は、脳卒中について「予防を徹底すると共に、もし、罹患してしまったら早い段階からの機能改善治療として運動療法が大切になる。従って、革新的ロボット治療器HALによる機能改善治療への挑戦、ひいては、再生医療とHALの新療法を提案したい」と強調した。

加圧トレーニングの効果を報告


 一方、加圧トレーニングの効果について報告したのは、中島敏明氏(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター加圧トレーニング虚血循環生理学講座)

 わが国では高齢化が進み、いかに老化によるサルコペニアを防止し、寝たきりを防ぎ、生活の質を高めるかが重要な課題となっている。 サルコペニア予防・対策において、筋力トレーニングは、効果的な方法であるが、高強度トレーニングは高齢者では実施できない。

 加圧トレーニングは、軽強度、短時間の負荷にもかかわらず、多くの筋線椎を刺激し、筋肥大と筋力増強が得られるという新しい筋力トレーニング法で、多方面への効果(筋肥大、筋力増強、骨への効果など)、宇宙飛行による筋萎縮防止、さらには、様々な疾病を有する患者のリハビリテーションなどへの有用性などが期待されている。

 中島氏らは、アンチエイジング、サルコペニア予防・対策、廃用症候群の筋萎縮防止の新たな治療法として、加圧トレーニングの有用性を高齢者で検討。さらに、加圧トレーニングの筋肥大の機序をラットを用いた血流制限下モデルによって検討した。

 その結果、高齢者(平均年齢71歳)を加圧群と対照群に分け、レッグエクステンション(20%1RM)とレッグプレス(30%1RM)を週2回、12週間実施すると、加圧群では有意な筋肥大、筋力増強が認められた。

セラバンドを用いた加圧運動は運動中の筋活動量を著明に冗進し、さらに、3カ月のトレーニングにおいて、高齢者での筋肥大、筋力増強効果が認められた。

 また、ラット加圧モデルにおいて、加圧下では、非加圧下に比較して明らかな筋酸素分圧の低下と刺激後3時間に筋タンパク合成系の活性化を認めると共に、同様の刺激でラットを3週間トレーニングすると、加圧なしの電気刺激のみの群に比べ、前脛骨筋の有意な筋肥大が認められた。

 さらに、楯輸送系であるGLUT4と乳酸トランスポーターであるMCTlの発現が有意に冗進させることを認めた。

 中島氏は、「これらの結果から、加圧トレーニングは、リハビリ患者や低体力の高齢者における筋力増強及び筋萎縮改善に対して有用なトレーニング法であると考えられる」と総括し、「加圧トレーニングにはアンチエイジング効果がある」との見解を示した。

薬事日報より

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