医療情報の標準化推進を‐残薬、重複投薬解消に効果

JUMPが政策提言


 日本ユーザビリティ医療情報化推進協議会(JUMP)は9日、都内で記者会見し、医療等情報の利活用強化に向けた提言を公表した。標準化の実質的な推進やマイナンバー導入、プライバシー保護法制の確立を課題に挙げ、抜本的な改革を要求。これにより、高齢者の薬の飲み残しによる400億円程度の残薬削減や約1400万件の重複投薬適正化、約1000億円程度の新薬開発コスト削減等が見込まれると効果を試算した。


 提言では、わが国の医療分野への情報機器導入は世界トップレベルにあり、医療・介護等情報の電子化が進んでいるとしながらも、「情報の利活用が極めて不十分」と指摘。それぞれのデータベースを連結するための識別子が存在しない現状では(利活用は)不可能」とし、患者へのサービス提供や 創薬に生かすための電子化に向け、抜本的な改革が必要との認識を示した。

 その上で、医療機関の情報システムの更新時に適切な誘導策を取ることで、施設を超えて情報を活用できるよう標準化を実質的に推進させると共に、医療分野に適用する連携用符号を含むマイナンバーの導入、番号を名寄せできないようにするプライバシー保護法制の確立を提言した。これらの課題を解決することにより、医療安全対策や正確なニーズに対応した創薬等が実現できるとした。

 具体的には、これまで各データベースに様々な形で蓄積されてきたデータを突合し、処方箋の電子化や電子お薬手帳等を利活用することにより、75歳以上の高齢者の薬の飲み残しが改善され、年間400億円程度の残薬削減につながるとした。

 院外処方の約3%、年間約1400万件以上に相当する重複投薬による過量投与、相互作用の防止が期待できるほか、広く薬剤の使用実態や副作用の発生状況が把握できるようになることで、副作用リスクの監視や評価が高度化され、安全な処方につながるとした。

 新薬開発の成功確率の向上、治験効率化への活用も提言し、大規模データベースの活用によって年間1000億円程度の削減が見込まれるとした。

 医療トレーサビリティの確立による患者の安全・安心の確保も期待できるとし、臨床現場で「何を」「誰が」「誰に」「どうする・どうした」を照合するシステムにより、医薬品等のモノのみならず、医療従事者等のヒトも含めてデータ管理し、医薬品等の取り違えの未然防止を実現できるとした。

 医療機関、調剤薬局、製薬企業や医薬品卸においても、トレーサビリティ管理が実施されることで、医薬品の副作用が発生した場合の発見、特定、追跡が容易となり、迅速な回収や緊急対応が可能になると指摘。医療関係者等が協力し、臨床現場での処方や消耗材料の交換等を記録・保存したデータを共同利用できる「医療トレーサビリティ情報管理プラットフォーム」(仮称)の早期構築を提言した。

 同協議会の山本隆一政策提言・広報部会長(東京大学特任准教授)は、政策提言の実現に向け、「癌や認知症等の重要な疾患に関して、十分なデータを集めるために標準化すべき項目を限定することが最も大切」と道筋を示し、「比較的少ないコストで標準化できる状態を作った上で、それを実際の診療現場に導入するため、医療機関にインセンティブを与えて進める必要がある」と提言した。

薬事日報より

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