医薬品等産業活性化を支援‐「先駆けパッケージ戦略」登場

 厚生労働省は、世界に先駆けて日本での開発が見込まれる医薬品や医療機器、再生医療等製品を迅速に承認するための「先駆け審査指定制度」と、未承認・適応外薬の開発要請の対象を一定の要件を満たす欧米の未承認薬にまで拡大する「未承認薬迅速実用化スキーム」を柱とする「先駆けパッケージ戦略」をまとめた。これまでのドラッグ、デバイスラグの解消といった後追いの政策から転換し、国内外の企業が日本で初めて開発、承認申請するための環境を整える施策を打ち出している。厚労省は、「医薬品・医療機器の開発は、日本で最初に開発する。それが知的産業分野では大きなアドバンテージになってくる」としており、来年にも制度を始動させたい考えだ。


 先駆け制度は、希少癌やアルツハイマー病、難病など、画期的な治療法の早期実用化が求められている疾患を対象とした医薬品、医療機器、再生医療等製品を対象としている。

 指定の基準として、▽世界に先駆けて日本で開発され、申請が計画される(開発初期からPMDAの相談を受けていることが望ましい)▽第I相から前期第II相までの開発初期の臨床試験データで、既存の治療法より大幅な改善効果が期待される――ことなどを挙げている。

 先駆け指定を受けると、相談者との事前のやりとりを優先的に行い、英語資料の提出も認めるなどして、これまで2カ月かかっていた治験相談が1カ月に短縮される。

 通常、12カ月程度かかる承認審査の期間についても、第III相試験の結果を承認申請後に提出することを認めるなどして、半分の6カ月程度に短縮させることを見込む。

 指定の手続きは、開発企業が厚労省医薬食品局審査管理課に申請した場合、PMDAの評価を受けてから60日以内に指定の可否が通知される。審査管理課が企業に打診して申請があった場合は、半分の30日以内に結果が通知される。

 新制度は、PMDAの運用見直しで対応し、早ければ2015年からスタートする。

 未承認薬迅速実用化スキームは、厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議の対象を一定の要件を満たす欧米未承認薬にまで拡大し、企業に対して開発要請を行うことで、世界に先駆けて重篤・致死的疾患治療薬の実用化を加速するためのもの。

 重篤、致死的な疾患を対象とする未承認薬については、欧米未承認でも、▽国内第III相試験を実施中または終了したもの▽優れた試験成績が論文により公表されているもの▽先進医療Bで一定の実績があるもの――うち、いずれかの要件を満たせば対象に加える。

 その後は、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が医療上の必要性を判断した上で、企業に対して開発要請を行う。企業は治験を実施し、承認申請に結びつける。学会や患者団体などからの要望はずい時受け付け、ずい時評価する仕組みにして時間的な短縮も図る。

 ただ、海外ベンチャーが開発した製品などで、国内開発企業とのマッチングに時間を要する場合は、臨床研究中核病院、国立高度専門医療研究センターなどが医師主導治験、先進医療を実施し、承認申請に活用可能なデータを取得するなどして、企業による開発着手を後押しする。

シーズ実用化の環境を整備


 パッケージ戦略は、▽基礎・応用研究、非臨床試験▽臨床研究・治験▽審査・薬事承認▽保険適用▽企業活動の基盤・環境整備▽国際展開――の各ステージにおいて取り組むべき施策を取りまとめている。今回、企業活動の基盤・環境整備と国際展開の二つの段階における支援策を示したことが特徴だ。

 基礎・応用研究、非臨床試験の段階では、薬事戦略相談と創薬支援ネットワークとの連携を推進。具体的には、シーズ実用化を主目的とする研究について、日本医療研究開発機構と連携し、厚生労働科学研究費による委託研究課題の採択に当たって、PMDAが行う薬事戦略相談を受け、その結果を適切に研究計画に反映した課題を優先的に採択する仕組みを検討する。

 ヒトiPS細胞を用いた安全性評価法の開発も行う。ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞を心毒性評価法に用いることで、医薬品をヒトに投与することなく、安全性を評価できる評価法の開発を見込む。

 官民共同による医薬品開発の促進も図る。日本の医薬品開発のボトルネックを解消するための課題を抽出し、課題ごとに、アカデミア、製薬企業、国立高度専門医療研究センター等の関係者が参画する「技術研究組合」を形成し、集中的に研究を推進する体制の構築を目指す。

 臨床研究・治験の段階では、臨床研究中核病院への研究費の重点配分をはじめ、研究データの薬事承認申請への活用、GCP適合性実地調査の合理的な実施方法などを検討する。

 また、患者数が極めて限られるウルトラオーファンドラッグ・デバイス、再生医療等製品の指定基準を明確化し、指定の早期化を図ることで開発しやすい環境を整えるなど、さらなる支援策を検討する。

 審査・承認の段階では、承認申請前の開発段階から提出可能なデータに基づき順次事前評価を行い、実質的に審査を前倒しする事前評価相談制度を活用。先駆け制度の導入も視野に入れつつ、18年度までに医療上の必要性の高い優れた医薬品等について、希望のあった全ての相談に対応するための体制強化を行う。

 保険適用の段階では、先駆け審査指定制度の導入なども踏まえ、引き続き、革新的医薬品の早期実用化の観点を含め、薬価制度の検討を行う。

 企業活動の基盤・環境整備の段階では、これまで行ってきた研究開発税制などの効果を検証し、民間での研究開発投資強化策を着実に実施。さらに、知的財産の創造を促進する施策も検討する。

 医薬品市場に占めるバイオ医薬品の割合が増大している一方で、国内におけるバイオ医薬品の生産拠点が少ないことなどを踏まえ、人材育成を含めた基盤・環境整備への支援の検討を行う。

 世界同時開発につなげるための環境整備も後押しする。国際共同臨床研究において、日本がリーダーシップを発揮できるよう、日本主導型グローバル臨床研究体制を整備する。

 国際展開の段階では、相手国のニーズに応じた対応を図る。海外に拠点を持つ日系企業・関係機関(JETRO等)と関係府省との協力のもと、新興国や途上国を中心とした国・地域の規制当局等との対話を通じて、日本で承認された医薬品・医療機器等の速やかな導入を支援する。

 また、最先端の技術を活用した医薬品等の有効性・安全性評価ガイドラインに関する研究の充実や、最先端の診断・治療技術の国際規格・基準の策定を世界に先駆けて提案し、各国の規制に取り入れられるような取り組みを推進することで、日本企業がグローバルに活動しやすい環境を整える。

 国際協力などの枠組みを活用した国際展開も進める。日本の製薬産業の優れた研究開発力を生かして、顧みられない熱帯病などの開発途上国向け医薬品の研究開発、供給支援を官民連携で推進。日本の製薬企業の信頼、知名度を向上させ、海外展開の下支えを行う。

 厚労省は、15年度の予算要求プロセスにおいて、これらの施策の具体化を図るとしている。また、実行可能な施策については、今年度から前倒しして実施する。

薬事日報より

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