薬事法等の改正のポイント

 2013年の末に、次の2回にわたる薬事法の一部改正、および再生医療技術の進展に伴う新たな法律の制定など薬事に関する行政上の重大な変動があった。以下、この2回にわたった薬事法の一部改正の概要について述べる。なお、施行規則は、未交付の段階であるが、省令事項については、すでにパブコメが発せられているので、このパブコメをもとに解説する。


薬事法等の一部改正の概要

 (13年11月27日、法律第84号)
1.改正の趣旨

医薬品、医療機器、再生医療等製品の安全かつ迅速な提供の確保を図るため、添付文書の届出義務の創設、医療機器の登録認証機関による認証範囲の拡大、再生医療等製品の条件及び期限付き承認制度の創設、医療機器等の特性を踏まえた規制を構築するなど所要の措置を講じた改正である。改正内容は以下のとおりである。

2.法律の題名の変更

薬事法の法律の題名を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改めた。なお、法律の略名は、「医薬品医療機器等法」とされた。

3.医薬品等の安全対策の強化に関する改正事項

(1)薬事法の目的の拡大
 薬事法の目的に、その対象として再生医療等製品を加えるとともに、法の目的に「医薬品等の使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止」も明記された(法第1条関係)

(2)国、都道府県等の役割、責務の拡大
 国、都道府県、薬局等の医薬品関連事業者等、薬剤師等の医薬関係者及び国民に対し、「医薬品の品質、有効性及び安全性等に関し、それぞれの役割と責務が条文をもって定められた(法第1条~第1条の6まで関係)

(3)添付文書等記載事項の記載の義務付け
 医薬品等は、添付文書等に当該医薬品等に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき、添付文書等記載事項を記載することが義務付けられた(法第52条第1項、第60条、第62条、第63条の2第1項、第65条の3関係)

(4)使用及び取り扱い上の必要な注意事項の届の義務付け
 医薬品、医療機器及び再生医療製品の製造販売業者は、厚生労働大臣が指定する医薬品、医療機器及び再生医療製品の製造販売をするときは、あらかじめ、添付文書記載事項のうち、「使用及び取り扱い上必要な注意事項」を厚生労働大臣に届けることが義務付けられた。また、この届出をしたときは、直ちに、当該事項について、電子情報処理組織を使用する方法等により公表することが義務付けられた(法第52条の2、第63条の3、第65条の4関係)

(5)副作用を知ったときの医薬品医療機器総合機構への報告
 医師、薬剤師その他の医薬関係者は、医薬品、医療機器又は再生医療製品の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生等を知った場合の厚生労働大臣に対する報告について、厚生労働大臣が独立行政法人医薬品医療機器総合機構(機構)に情報の整理を行わせることとしたときは、その旨を機構に報告するものとした(法第68条の10、第68条の12、第68条の13関係)

(6)回収の着手、状況の報告
 医薬品等の製造販売業者等は、その製造販売した医薬品等を回収したときは、回収に着手した旨に加え、回収の状況についても厚生労働大臣に報告するものとした(法第68条の11関係)

4.医療機器及び体外診断用医薬品の特性を踏まえた規制の構築に関する事項

(1)医療機器及び体外診断用医薬品の規制条文の章の独立
 医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業及び製造業の規制について、医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売業及び製造業に係る規定と、章を区分して、条文が制定された(法第5章関係)

(2)医療機器の定義の変更
 医療機器に定義が変更された。従来の定義に加え、「プログラム(電子計算機に対する指令であって、一つの結果を得ることができるよう組み合わせられたものをいう)及びこれらを記録した記録媒体が加えられた(法第2条関係)

(3)医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売及び製造業に関する事項
 (1)業として、医療機器又は体外診断用医薬品の製造をしようとする者については、製造所ごとに、厚生労働大臣の許可を受けねばならぬ仕組みを改め、製造所ごとに、登録を受けねばならぬ仕組みに改められた。また、外国において本邦に輸出される医療機器等についても同様な規制に改められた(法第23条の2の3、第23条の2の4関係)

 (2)医療機器若しくは体外診断用医薬品の製造販売の承認若しくは認証を受けようとする者又は受けた者は、その承認又は認証にかかる医療機器又は体外診断用医薬品が定められた事項(略)のいずれにも該当するときは、その物の「製造管理又は品質管理の方法」が厚生労働省令で定める基準の適合性の調査を受けることを要しないとされた(ただし書き省略)(法第23条の2の6、第23条の2の17第5項、第23条の2の23第4項及び第5項関係)

 (3)厚生労働大臣又は登録認証機関は、その製造販売の承認を受けようとする医療機器等の「製造管理又は品質管理の方法」が厚生労働省令で定める基準に適合していると認めるときは、定められた医療機器については「基準適合証」を交付するものとした(法第23条の2の6、第23条の2の17第5項、第23条の2の24条関係)

 (4)医療機器及び体外診断用医薬品の再審査及び再評価の仕組みを改めた(新たな仕組み、略)(法第23条の2の9関係)

(4)登録認証機関に関する事項(改正事項略)
 (第23条の2の23、第23条の3の2、第23条の6第2項、第23条の10、第23条の11の2、第23条の16第2項関係)

(5)医療機器の貸与業に関する事項
 (1)高度管理医療機器又は特定保守管理医療機器について、営業所ごとに、都道府県知事による貸与業の許可を必要とされた(法第39条関係)

 (2)管理医療機器(特定保守管理医療機器を除く)を業として無償で貸与しようとする者は、あらかじめ、届出が必要とされた(法第39条の3関係)

(6)医療機器及び体外診断用医薬品の添付文書等の記載事項の記載不要の特例)
 医療機器又は体外診断用医薬品を、薬局開設者、医薬品又は医療機器の製造販売業者が、医師、薬剤師、薬局開設者、医薬品又は医療機器の製造販売業者等に販売等する場合に、一定の条件に該当する場合は、添付文書等記載事項の記載が不要とされた(法第52条第2項、第63条の2第2項関係)

5.再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築に関する事項

(1)再生医療等製品の定義の制定
 再生医療等製品とは、次のものであって、政令で定めたものと定義された(法第2条第9項関係)

 (1)次の医療又は獣医療に使用されることが目的とされる物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの(次のもの略)

 (2)人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされる物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの

(2)再生医療等製品の製造販売業及び製造業に関する事項
 (1)再生医療等製品の製造販売業及び製造業について、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の規定と章を区分して、これらと同様の規定を設けることとした(法第6章関係)

 (2)再生医療等製品を製造販売しようとする場合の、品目ごとの承認の必要性と、承認拒否の条件が定められたこと。また、本邦に輸出される再生医療製品についても同様に規制することが定められた(法第23条の25、第23条の37関係)

 (3)再生医療等製品の製造販売について、条件付き承認の要件が定められた(法第23条の26第1項及び第23条の37第5項関係)

 (4)前項の条件付きで承認を受けた者について、特定の義務が課せられた(法第23条の26第5項及び第23条の37第5項関係)

(3)再生医療等製品の安全対策に関する事項
 (1)再生医療等製品を取り扱う医療関係者は、再生医療等製品の有効性、安全性、適正使用のため必要な事項について、当該使用対象者に対し適切な説明を行い、同意を得て当該再生医療製品を使用するよう努力義務が課せられた(法第68条の4関係)

 (2)再生医療等製品の製造販売業者は、再生医療製品を譲り受けた者の氏名、住所等の記録、その保管等一定の責務が定められた(法第68条の7関係)

 (3)再生医療等製品の安全対策について、生物由来製品と同様な規定が設けられた(法第11章関係)

6.主な他の法律の一部改正

(1)安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の一部改正
 採血事業者又は病院若しくは診療所の開設者は、医薬品、医療機器又は再生医療製品の原料とする目的で採血をする場合は、業として、人体から採血することができるものとした(法第12条関係)

(2)独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の一部改正
 (1)再生医療製品の副作用による健康被害について、副作用救済給付の対象に加えることとした(法第15条第1項第1号、第16条関係)

 (2)再生医療製品を介した感染等による健康被害について、感染救済給付の対象に加えることとした(法第15条第1項第2号、第20条関係)

 (3)その他、食品衛生法、予防接種も付則で改正された


「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」の改正の概要(インターネット販売の安全性の確保、指定薬物の所持使用の禁止等の改正)

 (13年12月13日、法律第103号)

1.改正の趣旨

一般用医薬品のインターネット販売に関する最高裁判決を踏まえ、医薬品及び薬剤の使用に際しての安全性の確保を図るため、医薬品の区分として要指導医薬品を新設し、その販売に際しての薬剤師の対面による情報提供及び薬学的知見に基づく指導を義務付ける等の医薬品の販売業等に関する規制の見直しを行うほか、指定薬物による保健衛生上の危害の発生を防止するため、その所持等を禁止する等の措置を講じた改正である。

2.医薬品販売業等の規制の見直しに関する事項

(1)一般用医薬品の規制の見直しに関する事項
 (1)要指導医薬品の定義及び店舗販売業の許可等に関する規制

 [1]要指導医薬品の定義及び規制区分の新設

 一般用医薬品と異なる区分として、「要指導医薬品」の区分を新設し、「要指導医薬品」の定義として、次の定義を定めた(法第4条第5項第4号関係)

 「次の医薬品のうち、その効能効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものであり、かつ、その使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定したもの」

 i.既に承認が与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なると認められた医薬品であって、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過していないもの

 ii.その製造販売の申請に際して、前項の医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められた医薬品であって、当該申請に係る承認を受けてから、厚生労働省令で定める期間を経過していないもの

 iii.毒性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの(毒薬)

 iv.劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの(劇薬)

 [2]店舗販売業の許可の業務

 医薬品の店舗販売業の許可は、要指導医薬品又は一般用医薬品を、店舗において販売し、又は授与する業務について行うものとされた(法第25条関係)

 [3]店舗販売業のインターネット販売の規制

 店舗販売業の許可を受けようとする者は、その店舗においてその店舗以外の場所にいる者に対して一般用医薬品を販売し、又は授与する場合にあっては、その者との間の通信手段を記載した書類を添付して、その店舗の構造設備の概要等を記載した申請書をその店舗の所在地の都道府県知事等に提出することが義務付けられた(法第26条第2項及び第3項関係)

 [4]店舗販売業者の遵守事項

 厚生労働大臣は、店舗における医薬品の販売又は授与の実施方法に関し、店舗販売業者が遵守すべき事項を定めることができるものとされた(法第29条の2第1項関係)

 (2)要指導医薬品の販売に従事する者等に関する事項

 [1]薬剤師による販売等の義務付け

 薬局開設者又は店舗販売業者は、要指導医薬品につき、薬剤師に販売させ又は授与させることが義務付けられた(法第36条の5第1項関係)

 [2]使用する者以外の販売等の禁止

 薬局開設者又は店舗販売業者は、要指導医薬品を使用しようとする者以外の者に対して、正当な理由なく、要指導医薬品を販売し、又は授与することが禁じられた(法第36条の5第2項関係)

 (3)要指導医薬品に関する情報提供及び指導に関する事項

 [1]薬剤師による対面、書面による情報提供の義務付け

 薬局開設者等は、要指導医薬品の適正な使用のため、要指導医薬品を販売し又は授与する場合には、薬剤師に対面により、書面等を用いて必要な情報を提供させ、及び必要な薬学的知見に基づく指導を義務付けられた(法第36条の6第1項関係)

 [2]使用者の年齢等の確認の義務付け

 薬局開設者等は、前項による情報の提供及び指導を行わせるに当たっては、当該薬剤師に、あらかじめ、要指導医薬品を使用する者の年齢、他の薬剤又は医薬品の使用状況等の確認させることを義務付けた(法第36条の6第2項関係)

 [3]情報提供、指導ができないときの販売等の禁止

 薬局開設者等は、前項[1]の情報提供又は指導ができないときは、要指導医薬品を販売し、又は授与することが禁じられた。(法第36条の6第3項関係)

 [4]相談があった場合、薬剤師による情報提供の義務付け

 薬局開設者等は、要指導医薬品の適正な使用のため、その薬局又は店舗において要指導医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者から相談があった場合、薬剤師に、必要な情報を提供させ、又は必要な薬学的知見に基づく指導を行わせることが義務付けられた(法第36条の6第4項関係)

 (4)一般用医薬品に関する情報提供等に関する事項

 [1]第1類医薬品の販売時の年齢等の確認の義務付け

 第1類医薬品について、前項[2]と同様な規制を設けた(法第36条の10第2項関係)

 [2]第2類医薬品の販売時の努力義務規定

 薬局開設者等に対し、薬剤師又は登録販売者に第2類医薬品に関する情報の提供を行わせるに当たっては、当該薬剤師又は登録販売者に、あらかじめ、第2類医薬品を使用しようとする者の年齢、他の薬剤又は医薬品使用の状況等を確認させるよう努力義務を定めた(法第36条の10第4項関係)

 [3]第1類医薬品の情報提供義務の免除規定

 第1類医薬品を購入し、又は譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があった場合における薬局開設者等による第1類医薬品に関する情報の提供の義務の免除は、第1類医薬品が適正に使用されると認められる場合に限るものと規定された(法第36条の10第6項関係)

 [4]配置販売業者に対する準用規定

 配置販売業者について、前項[1]、[2]、[3]の規定が準用された(法第36条の10第7関系)

 (5)要指導医薬品の陳列に関する事項

 薬局開設者等は、要指導医薬品及び一般用医薬品を陳列する場合には、これらを区分して陳列することとされた(法第57条の2第2項関係)

(2)その他の規制
 (1)インターネット販売時の購入者との連絡手段等の届出の規制

 薬局開設者について、前項(1)の(1)の[3]及び[4]と同様(店舗以外の者に販売する場合に、その者との連絡手段等の都道府県知事への書類の提出)の規制を設けられた(法第4条第2項及び第3項、第9条第1項関係)

 (2)処方箋で調剤された薬剤の規制

 医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤について、前項(1)の(2)の[1]及び(1)の(4)と同様の規制(薬剤師に販売させ、要指導医薬品の情報提供及び指導と同様の規制)が設けられた(法第9条の2、第9条の3関係)

 (3)薬局医薬品の規制

 薬局医薬品について、要指導医薬品に課せられた規制と同様な規定を設けることとされた(法第36条の3、第36条の4関係)

 (4)薬局製造販売医薬品の特例

 薬局関係者が当該薬局における設備及び器具をもって医薬品を製造し、その医薬品を当該薬局において販売し、又は授与する場合(薬局製造販売医薬品)について、政令で、本法第3章、第4章及び第5章の規制に関し必要な特例を定められる規定が設けられた(法第80条第4項関係)

3.指定薬物の所持、使用の禁止に関する事項

 指定薬物について、医療等に用途以外の用途に供するために、所持、購入、譲り受け、使用等を禁止する規定が追加された(法第76条の4関係)

4.他の法律の一部改正(薬剤師法の一部改正)

薬剤師法が次のとおり改正された。

 ▽情報の提供及び指導

 第25条の2 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなわなければならない。


再生医療の安全性の確保に関する法律(新法)の概要解説

(13年11月27日、法律第85号)

 本法の制定は、医薬品の製造販売と極めて関連する規制なので、法律の趣旨と内容の骨子を以下掲げる。

 (法律の趣旨)

 再生医療の迅速かつ安全な提供等を図るため、再生医療等を提供しようとする者が講ずべき措置を明らかにすると共に、特定細胞加工物の製造の許可等の制度を定めた。

 (法律の内容)

 再生医療等について、人の生命及び健康に影響を与える程度に応じ、「第1種再生医療等」「第2種再生医療等」「第3種再生医療等」に分類して、それぞれ必要な手続きを定めると共に、適正な提供の措置、特定細胞加工物の製造の許可等に係る規制が定められた。

薬事日報より

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