地域の健康情報拠点へ‐薬局の役割に大きな期待

●一般用医薬品セルフM財団がシンポ

公益財団法人一般用医薬品セルフメディケーション振興財団(東京千代田区、佐藤誠一理事長)は、医薬品の適正使用推進に向けた調査研究などへの助成事業を行っているが、この2013年度の助成対象者への表彰式を含めた「第8回一般用医薬品セルフメディケーションシンポジウム」が、今月都内で開かれた。薬剤師のセルフケア実践に向けた課題などをテーマに、講演やパネルディスカッションが行われ、演者からは様々な提言が行われた。

●望まれる地域密着の情報拠点‐OTC含め総合的な相談対応を

今回のシンポジウムでは、厚生労働省医薬食品局総務課医薬情報室長(前薬事企画官)の中井清人氏が「薬剤師によるOTC薬の供給と適切なセルフメディケーションの推進」と題し、地域の情報拠点として薬局・薬剤師が社会から求められている背景と、今後の取り組みに対する自身の期待も交えて、講演を行った。

 中井氏は最近の大きなトピックスの一つとして、今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」のアクションプランの中に、『薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適切な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を行う等、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進する』ことが盛り込まれたことを挙げ、「まず業界関係者はこのことを認識すべき」と指摘した。

 その上で、自身が考える“薬剤師が果たすべき役割、期待されている役割”として、病院薬剤師ではチーム医療の推進、病棟活動など、開局(薬局)薬剤師ではセルフメディケーションの推進(OTC、健康食品も含めて)、在宅医療の推進(チーム医療として)、地域への貢献(学校薬剤師、薬物乱用防止などの活動)――を挙げた。

 こうした活動への期待の一方で、中井氏が「少し驚いたというかショックなデータ」として紹介したのが、日本薬剤師会の「新たな医薬品販売制度の対応状況に関する相互点検結果」で、一昨年1月の調査になる。

 これによると、「第1類・第2類・第3類医薬品を区分して陳列しているか」の中では、「取り扱いなし」という回答が17・1%あり、また「第1類医薬品は消費者が触れられない場所に陳列しているか」の中では、「第1類はなし」が34・6%に見られている。中井氏は「いわば約17%の薬局が、OTCを売っていないということ。また、第1類は薬剤師しか売れない薬であるのに、約3分の1が扱っていない状況でいいのかと強く感じた」とした。

 現在、厚労省では日本再生戦略の中で、いくつかの施策で予算要求を行っている。その中では、薬局を地域に密着した総合的な健康情報拠点としていくため、各都道府県に協議会を設置し、モデル事業を推進していく考えがあるという。

 具体的には、[1]地域住民の健康支援・相談対応として、食生活、禁煙、心の健康、介護ケア、OTC、サプリメント、健康食品の情報提供・相談(適切な受診勧奨)[2]一般用医薬品の適正使用に関する情報提供・相談[3]在宅医療に関する情報提供・相談等――で、薬局に来れば関連知識を持った薬剤師から情報を入手できる環境の実現を目指していく。

 中井氏は「一つの例だが、ロコモ対策でも栄養面の管理も含めて、薬局薬剤師の役割は絶対にあると思う。薬局を健康情報拠点とするモデル事業でいいケースができたら、それを発表していく。そして改良を加え、さらに広がっていく。こうした良いスパイラルが回っていくことを期待している」とした。

●薬剤師はニーズ対応へ変化を‐新たな薬局作りへモデル事業も

また、WHOの報告書(The Role of the Pharmacistin Self-Care and Self-Medication)も紹介した。この中では、セルフメディケーションのための条件と共に、薬剤師の役割が挙げられている。薬剤師の役割としては、[1]適正使用のための情報提供、症状や病状の確認と適切な医療へのアクセスの確保等[2]質の高い医薬品を提供する者として、医薬品の品質を保証する[3]指導者として、提供するサービスの質の確保と自己研鑽等[4]健康増進を図る者として、地域の疾病予防や健康問題の普及啓発を進める――などとなっている。

 これらを含め中井氏は、薬剤師への要望として「ただ1日に何回飲んでくださいと言うのでなく、大事なのは『こういう兆候があったら、すぐ相談に来てください、こういう時はお医者さんに行ってください』ということ。そしてOTC医薬品だけでなく、医薬部外品、化粧品、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品と多くがある中で、薬局、薬剤師がぜひ相談役になっていただきたい。一般消費者の方々も相談したいという気持ちがあり、ぜひそこを受け止めてほしい」と述べた。

 講演を通じて中井氏は、「薬局はセルフメディケーションの推進のみならず、地域の健康情報拠点としての役割に大きな期待がある」ことを繰り返し強調。そして、私見であるとしつつ「薬局、薬剤師は患者や社会のニーズに的確に対応するために、変化し続ける必要がある。そのためにも各種モデル事業や研究事業なども含めて様々な取り組みを行い、試行錯誤し、あるべき姿を考える必要があると思う」などと、期待を示した。

薬事日報より

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