横断的取組みの推進を‐生活習慣病研究のあり方で報告書

日本学術会議の臨床医学委員会循環器・内分泌・代謝分科会は、「生活習慣病研究のあり方」に関する報告書をまとめた。疫学研究を推進し日本人の現状を把握すると共に、臨床医学ばかりでなくライフサイエンス等、他の学術領域と連携し横断的研究を推進し、その制御技術開発が必要とした。また、サイエンスと社会との協調関係を発展させ、研究成果を社会へ還元していくための仕組み構築が求められると提言した。


 現在の生活習慣病研究の問題点としては、これまで個別臓器や個々の生体システムに特化して生活習慣病の発症機序・予防策に関する研究が進められてきたことから、生活習慣病の本質を理解し実効性ある対策を講じることが困難だったことが挙がっている。

 このため、今後の生活習慣病研究では、ライフステージの全ての段階で臓器や生体システムを横断的に理解し、さらに、病期に適した有効な対策を講じるための研究が必要となる。また、これらに取り組むためには、従来の研究とは異なることから、そのあり方と進め方を明らかにする必要があるとして、今回、同分科会が検討し提言をまとめたもの。

 報告書では、[1]生活習慣病の新規発症から合併症発症の過程における生体の仕組みを理解すると共に、疫学研究を推進し日本人の現状を把握する[2]生体の制御システムを理解した上で、その破綻としての生活習慣病を横断的に捉え、その制御技術を開発する(そのためには、臨床医学とライフサイ エンス、ヒトゲノム科学、情報処理科学、医用工学など、他の学術領域との連携が不可欠[3]生活習慣病研究の成果を社会に実装するために仕組みを構築する必要がある(サイエンスと社会との協調的発展を目指す)――の三つを今後の方 針として提言した。

 [1]では、肥満やメタボリック・シンドローム、糖尿病などの代謝・内分泌疾患は、心筋梗塞、心不全、脳卒中、末期腎臓障害(人工透析)、癌、認知症などの臓器障害までを含めた一連の症候群として認識しなければならないとの基本的考えを示す。その上で、代謝障害から臓器合併症に至る疾患カスケードを明らかにすると共に、妊娠・出生から幼年期、青年期など疾病準備状況からの大規模な疫学的研究が必要としている。

 [2]では、近い将来、システム生物学を基盤として、低分子量医薬品やバイオ医薬品の開発、医療機器の開発などトランスレーショナルリサーチを視野に入れた医学研究の新領域を創出すべきであり、そのためには、臨床医学の幅広い知識技術を持ちつつバイオインフォマティクスにも精通した人材育成が求められるとした。

 さらに、ゲノム医療を実現するためは、日本人における遺伝子と環境要因(生活習慣病を含む)との関連を多くの集団で解析する「ゲノムコホート研究」が必要であり、それを進めるためのインフラとガイドライン、法律の整備が求められるとした。

 [3]では、人を対象とした研究においては、臨床的な評価系を確立し、疫学的知識・技術をもって臨床研究・治験のガイドラインや法律にかかる問題などに対処できる人材と体制整備が必要で、そうした領域を学術活動の一環として位置づけることが必要と指摘。近年推進されてきている レギュラトリーサイエンスが重要との認識を示した。

 また、臨床医学研究の成果が社会に受け入れられるためには、研究者と国民との間にある知識のギャップを少しでも埋めなければならないとし、臨床医学研究成果を広く国民と共有できるシステムを構築すると共に、成果の解説や広報を専門とする人材育成が必要とした。また、様々な人材がかかわって研究を進めることが一般化した今日、研究者に対する評価方法や、アカデミアにおけるキャリアパスのあり方についても見直しを求めた。

薬事日報より

受付:平日9:00-18:00  担当:福井・大石

  • ISO認証・取得ライセンス一覧
  • 医療・化粧品物流ブログ
  • 医療・化粧品物流用語集
フリーダイヤル 0120-998-094
お気軽にお問い合わせください! 平日 9:00 - 18:00 担当:福井・大石
お問い合わせはこちら
お見積・資料請求はこちら