漢方シリーズ「未来社会への漢方的アプローチ」[4]

漢方でこの国の六次産業化を


 4月24日に記者発表された日本経済調査協議会の「医療産業モデル研究委員会(福川委員会)報告書」では、『救国のヘルスケア4+4策~4つの基本戦略と4つの実行戦略』でも、4つの基本戦略の中に、日本が対外的に売りにできるコンテンツの一つに漢方が挙げられた。

 それに先立って3月28日には、国家戦略特区が発表され、東京9区と神奈川県全域、千葉県成田市の東京圏も指定された。この中で神奈川県が重点的に取り組む施策は、
[1]健康・未病産業の創出
[2]最先端医療関連産業の創出
[3]イノベーションを生み出す基盤構築
の三つであるが、「健康・未病産業の創出」の中の一項目として「漢方産業化の促進」が入っている。

 これに関連して、神奈川県、奈良県、富山県が約20の企業と共に昨年12月に、「漢方産業化推進研究会」を立ち上げた。

 漢方を振興するためには、医療のことだけ考えていても進まない。医師の診断技術を高めて、的確な診断と処方選択がなされても、使う漢方薬が良質でないと十分な治療効果を上げることはできない。

 良質な漢方薬の製造には、複合生薬から安定した製剤を作る技術が不可欠である。しかし技術が優れていても、供給される生薬の品質が悪ければ製剤が作れない。逆にいくら良い生薬を生産しても、それを使ってくれる製薬会社がなければ生産者がいなくなるし、製薬会社は使用する医師、または薬剤師がいなければ製造しない。

 このように、患者さんに最高の治療を届けようと思ったら、原材料である生薬の品質の管理から、市場開拓に至るまで、全てのバリューチェーンを満たす必要がある。「漢方産業化推進研究会」は、自治体と企業が一体となって、漢方にまつわるバリューチェーン全体を底上げしようとするものである。このバリューチェーンは一次産業、二次産業、三次産業全てが入っており、まさにこの国全体の六次産業化を図るものである。

 参加しているのは、植物工場を活用したい企業や農機具の企業、製薬企業、小売企業など多彩である。普段、協業する機会がない異業種が漢方というキーワードでつながることで、漢方全体の産業化が推進されるものと期待される。

 自治体では、未病対策や医療に積極的に取り組む神奈川県、生薬生産に強く、漢方推進のための特別チームを組んだ奈良県、漢方の医薬品産業に強い富山県が参加することで、自治体側の漢方のバリューチェーンが強化される。

 この研究会には前記3県のほかにも多くの自治体が関心を寄せており、自治体の参加が広がることで、まさにオールジャパンの体制が出来上がるものと期待される。

 このように国内のみならず、海外に向けても漢方をコアにしたサービス提供が期待されている。世界に先駆けて超高齢社会を迎えたわが国では、こうした期待だけではなく、漢方の力を示す時期に来ている。

 政府の支援がないことや規制に縛られて漢方の発展が妨げられている──といった様々な声が聞こえてくるが、存亡が問われるわが国の今の状況では、評論よりも実践が優先される。

 神奈川県の国家戦略特区、漢方産業化推進研究会には私自身も関与しているが、ぜひとも結果を示す形にしたいと考えている。関係者のさらなる理解と支援を期待したい。

薬事日報より

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