「地域包括ケア」参画をテーマに‐JACDS・調剤委員会がパネル討論

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の第2回調剤委員会報告会が、「ドラッグストア・薬局の機能拡大に向けた対応策~ドラッグストアは地域包括ケアにどう参画するか~」をテーマに3月15日(第14回JAPANドラッグストアショー期間中)に千葉市の幕張メッセで開催された。報告会では基調講演を厚生労働省老健局振興課課長補佐の川部勝一氏が行い、引き続き、川部氏に加えて後藤輝明氏(ツルハホールディングス取締役常務執行役員)、水上博文氏(高田薬局業務推進部部長)、遠藤さゆり氏(CFSコーポレーション執行役員営業企画室室長)をパネリストに迎え、平野健二氏(サンキュードラッグ社長)がコーディネーターを務めてのパネルディスカッション「ドラッグストアは地域包括ケアにどう参画していくか」が行われた。

変化するDgsと薬局の機能


高齢化社会で“活躍の場”も‐地域システムの中で役割発揮

 報告会の冒頭であいさつに立ったJACDS調剤委員会の青木桂生委員長(クスリのアオキ取締役会長)は、「わが国は世界に例を見ないような高齢化社会を迎え、将来的には2025年問題なども指摘されている。また、認知症患者も今後、まだまだ増えてくることが予想される」と指摘。「そうした時代の流れの中で、現在、わが国には既に約1万7000軒のドラッグストアがある。これは5000~6000人の人口に1カ所の店があるということだ。その店が高齢化社会の中で、どう活躍できるか、どのようなお手伝いができるか、それらをこれから真摯に考えていかなくてはならない時代になってきたと思う」とした。

 また、健康寿命延伸の取り組みの必要性を訴え、「ドラッグストアにとっては、いよいよ活躍する場ができてきたのではないか」との考えを提示。「今までは単に物を売ることに専念してきたが、これからは様々な提言や提案を行い、少しでも生活者の役に立てるようにならなくてはいけない。われわれも社会的な意義という意味で、地域の包括ケアにどのように参画していけばいいかを一生懸命に考えていきたいと思う」と述べた。

基調講演を行った川部氏は、地域包括ケアシステム構築のポイントとして、「医療、介護、予防、住まい、生活支援という五つの要素を一体的に地域で提供することが地域包括ケアシステムだと政府では考えている」と話した。その上で、「地方によって社会的インフラが異なるが、国の方で定義しているのは、五つの要素を一体的に提供するのが地域包括ケアシステムで、概ね30分以内に必要な各サービスを利用できるということを想定している。具体的には中学校区単位を考えており、これは全国に約1万カ所となる」と説明した。

 地域包括ケアシステムの作り方に関しては、「今すぐに作っていただきたいということではない。作るためのツールが現在はまだ足りていない。そのツールを今回の介護保険法の改正で整備するということになり、2015年から約10年をかけて、システムを各地域で作っていただきたい」との考えを示した。

 さらに今回の介護保険法改正については、“地域包括ケアシステムの構築”と“費用負担の公平化”という二つに大別されると説明。「介護保険法の地域包括ケアシステム構築の上で必要な要素は様々あり、厚労省では五つを柱としている」とし、「五つの柱のうち、ドラッグストア業界において地域包括ケアシステム構築に参画していただける可能性のある方々に最も関係のあると思うのが、生活支援の部分だ」とした。

 生活支援サービスに関する国の考え方については、「高齢者の社会参加という自助の部分、そして生活支援サービスという互助の部分、これらをマッチングしたところで生活支援の担い手のサービスの社会参加を促進することを考えている」とし、「これらを市町村、都道府県、国で法的にバックアップしていこうという考えであり、今のところ国が考えている生活支援サービスの中身は、例えば配食、見守り、外出支援、食材の配達、安否確認などだ」と述べた。

 また、「既に地域包括ケアシステムが軌道に乗っている地域では、事業主体といわれる協議体があり、さらに深掘りすると、そこに生活支援コーディネーターが非常に多く介在していることが分かっている」として、「最終的には中学校区単位でコーディネーターを公的な資金を投入して貼り付けていこうと考えている。コーディネーターと市町村が協力し、事業主体といわれる協議体を各市町村に作っていただき、生活支援サービスの様々な事業体が協働することで支えていただく世界を作ろうというのが国の考え」とし、「この協議体にぜひ、ドラッグストア業界の方々に参画をお願いしたい」と語った。

Dgsが持つ様々な資源にも注目


 引き続き実施されたパネルディスカッションでは、「ドラッグストアは地域包括ケアにどう参画していくか」をテーマに掲げた。

 パネルディスカッションのコーディネーターを務めた平野氏は冒頭で、「市町村で持っている医療資源、介護資源といったものには大きく差がある。そうした中で、その地域の住民との関わりも含めて、この地域包括ケアのあり方も違うということを国が認めたのだと思う」とした。

 その一方で課題もあるとし、「市町村の中には、財源、さらには医療資源、介護資源が乏しいところが多々ある」と指摘。その上で、「そうした中で地域包括ケアを実施していこうとする時に、ドラッグストアや薬局がその地域の重要な医療、介護といった諸々のサービスを提供する資源として、改めて役に立てるチャンスが出てくるのではないか」との考えを示した。

 さらに平野氏はドラッグストアが持つ機能に関して言及。「ドラッグストアの持つ機能の一つには薬局機能がある。その中には医療としての調剤があるが、さらに、予防あるいは早期発見、慢性疾患のモニタリング、こうした部分にも医療機関としての薬局の仕事の範囲が広がってきたところだと思う」とした。特定健診・保健指導の問題にも触れ、「ドラッグストアは生活者の近くに存在し、しかも生活の中に溶け込んでいるがゆえに“ついでに行く”ということが可能だ。長期にかかる予防や介護においては、“わざわざ行く”というよりも、“ついでに行ける”という環境の中に、サービス提供の場があることが非常に大きな意味を持っている」とした。

 また、薬局機能以外にドラッグストアが持つ機能として“生活支援の機能”を挙げた。「ドラッグストアは豊富な商品、幅広い商品を持っていることは言うまでもないことだが、それに加えて人的資源も持っている。薬剤師、登録販売者、企業によっては管理栄養士など様々な人的資源を持っており、それぞれの人的資源に何ができるのかといった領域を行政との関係の中で少しでも広げていくことができれば、結果として地域包括ケアの中で担える役割も増えるのかもしれない」と指摘した。

 さらに、平野氏は「ドラッグストアはコミュニティの場でもある」との考えを強調。「普段の買い物の場であるからこそ、何も求めなくても人が集まり、そこに交流の場が発生する。そうした機能もドラッグストアの重要な役割だと思う」と語った。

「薬局・Dgsは街の保健室」に


 後藤氏は、「薬局やドラッグストアが街の保健室になることが必要」との考えを示した。「様々なことを聞いて、その場で解決できることはその場で解決する。病院に行かなければならない場合には受診勧奨していく。それらが薬局・ドラッグストアの使命ではないかと思っている」とした。

 その上で、「薬局における生活者のセルフケア・セルフチェックを支援する体制を実現するために」とし、「自己採血セルフチェック時における薬剤師の情報提供による受診行動へ及ぼす影響」および「非侵襲性の尿糖試験紙による生活習慣病早期発見の可能性」についての調査結果などを紹介した。

 それによると、▽事前の薬剤師の検査値に関する情報提供が、その後の1カ月以内の受診率に影響を与えることが分かった▽自己採血検査の注意事項のみの説明のI群受診率11・9%に対し、検査項目13項目の説明などを行ったII群受診率は19・7%に上昇した▽北海道地区は475人の研究参加者の20%(96人)に、東北・関東地区は462人の参加者の15%(69人)に尿糖試験紙の陽性反応が現れ、そのうち10%前後が受診を行った▽自己採血に比べると、非侵襲性に、しかも手軽に実施可能な尿検査のため、抵抗感なく行うことができると考えられる――といった結果が得られたという。

 これらを踏まえ後藤氏は、「様々なセルフチェックを、日常的な行為として薬局店頭で積み重ねていくことで、生活者自らが自分の健康に関して客観的に、そして継続的に確認を行うことが可能になる」と指摘。「また、これらのセルフチェックを広め、継続することが生活者の異常所見の進行や手遅れの防止、生活習慣病の早期発見や予防に機能し、最終的には医療費削減に貢献できるものと考える」と述べた。

地域と共に新たな価値創造へ


 水上氏は、「ドラッグストアは企業なので儲からない仕事はしても意味がないというのは当然であって、特に経営的な要素を地域包括ケアの中でどのように受け止めることができるのかを理解するのが非常に大事だ」との考えを示した。さらに、「生活支援に関わる具体的な事業施策がこれから出てくると思う。われわれドラッグストア企業にとっても面白い展開ができる大きな公的な要素と考えているので、よく勉強していきたいと思う」とし、「一番のポイントは都道府県レベルでの事業指定ではなく、市町村レベルでの事業指定ということだ」とした。

 遠藤氏は、「各地域において、患者や生活者それぞれの環境が違って、ニーズも違う。そういうところに応えられるのがドラッグストアではないかと思う」と指摘。「ドラッグストアは地域コミュニティの中心にあるべき業態だと考えている。生活に欠かせない業態として、生活ストアとして、医薬品はもちろん、化粧品、日用品、食品を扱っているというところで、しっかりと根づいていきたいと思っている」と語った。

 川部氏は、地域包括ケアの中でドラッグストアに期待することに言及し、「これまで介護給付で取り組みを行う事業者は基本的には都道府県が指定した事業者しか参画ができなかった。今後は、市町村が事業主体等を指定できる枠組みが新しくできる。市町村が指定するということは、そこに公的給付が流れるということであり、そこにドラッグストア業界も参画の可能性があるのではないか」とした。その上で、「地域包括ケアは市町村だけでなく、行政や民間、NPOなど様々な方たちが関わらないと、これから10年先の社会は作れないと思う。今日をきっかけとして地域包括ケアという言葉が頭に残ったと思う。引き続き今後も介護保険の改正を機に、皆さんで支えられる社会を作りたいと思っているので、協力をお願いしたい」と要請した。

薬事日報より

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