初のアジア・パシフィック流通フォーラム

日中韓の医薬品卸関連団体による第1回アジア・パシフィック医薬品流通フォーラムが18日に都内で開催され、各国の医薬品流通事情、課題について報告された後、ディスカッションが行われた。会合では、3カ国それぞれの制度、医薬品市場と流通業の機能、課題が異なっていても、医薬品を安心・安全に安定供給するという卸の役割と使命は同じであることを確認すると共に、今後も友好的に情報・意見交換していく重要性で意見が一致した。

 日本と韓国の医薬品卸団体は、数年前から2年ごとにお互いの国で会合を開催してきたが、今回からは中国の団体も参加して、名称も新たに初の開催となった。

 冒頭、日本医薬品卸売業連合会の鈴木賢会長は、「医薬品卸は、震災やパンデミック発生時など有事の際にも、安全、安心な医薬品を安定して届ける社会インフラとしての役割を担っており、社会的使命を果たせるよう自己研鑽に努める必要がある。このフォーラムが、意識向上に役立ち、各国の医薬品流通の発展に寄与することを願う」とあいさつした。

 中国医薬商業協会の付明仲会長は、「国民の健康のために大きな役割と使命、責任を担ってきた。国は違っても、同業医薬品卸の使命、役割は同じである」との認識を示し、また、韓国医薬品都売協会の黄治{火+華}会長は、「世界の中でも3カ国は医薬品流通業が発展しており、情報交換できる友好関係を築いていきたい」と述べた。

 最初の演者として登壇した日本薬卸連国際委員会専門委員の木村仁氏は、「医薬品流通実態と卸機能・コストの国際比較」について講演した。

 木村氏はまず、医薬品卸が日本の薬価制度において重要な役割を担い、新薬創出加算制度を含めた薬価制度維持に貢献しており、結果的に50年にわたって国民の健康、長寿に貢献してきたことを強調した。

 日本の特徴としては、医療機関に卸との商取引を保障するための「契約書」を締結する習慣がないこと、メーカーMRの役割をMSが担い対価としての割戻し・アローアンスが存在することを指摘したほか、卸が担う物流、金融、販促、情報の四つの機能を紹介した。物流機能では、配送先が欧米に比べて格段に多い15万軒以上(日常配送分)に達し、配送員の教育を含めた自社保有率についても80~100%と高率であることを説明し、「これらの積み重ねによって、日本ではニセ薬が流通していない」と市場健全性をアピールした。

 また、MSが担っている販促機能では、100床未満の処方医に対する処方インパクトでは一定程度プラス影響を与えることや、顧客支援の付加価値サービス機能も日本の卸では多様に展開しているケースも報告した。

 その上で木村氏は、各国とのコスト比較をした結果、「日本の特許品に関して、財務諸表上の医薬品卸の粗利率は諸外国より高いものの、1製品を販売する場合の粗利率(額)は決して高いわけではない」と訴えた。

 最後に、各国の制度と卸機能は大きく異なり、欧米の「ホールセラー」と日本の「卸」は同じではなく、日本の卸は、[1]公的医療保険制度の維持と地域医療社会に貢献している[2]諸外国で製薬企業や代行業者が担う多岐にわたる役割を効率的に果たしている――とまとめた。

 中国と韓国からの報告に続いて、各国の課題についてディスカッションが行われた。韓国では、薬価引き下げ政策が激しく、2011年度には16%も引き下げられ、メーカーも厳しいが卸もマージンが低下した現状を述べ、特に海外製薬企業の低いマージンは問題だとの見解を示した。

 中国でも薬価引き下げが行われており、基本薬品政策によってジェネリック薬も引き下げられ経営が逼迫していることや、リベートも問題だと指摘された。

 日本の課題については、日本薬卸連国際委員会の岡野昌彦担当理事が、現在、単品単価取引の励行、仮納入是正という流通改善に取り組んでいることと、薬価改定と消費税増税が控えている状況を説明し、「価格交渉で不利な立場に陥っては、有事の対応やスペシャリティ医薬品の物流にも対応できなくなってしまう」との懸念を示した。

薬事日報より

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