セルフMとOTC市場の活性化、リアル店舗のあるべき姿に向けて‐フェア主催卸の営業担当3氏に聞く

出席者(順不同)

天野 泰成氏
 Paltac・近畿支社営業第2部部長
金森 伸氏
 アルフレッサヘルスケア・営業本部関西支社長
佐藤 修司氏
 大木・営業本部大阪支社第二支店支店長

親和会卸3社が主催する商品展示会「西日本OTCフェア」が今回、第31回目を迎える。同展示会は、競合する卸が協調した上での家庭薬、新薬などOTC関連の情報発信の場として定着している。昨今、OTC薬市場は全般的にはシュリンク傾向にあると言われる中で、スイッチOTC化など市場活性化に向けた商品の上市が期待されている。今後、さらなる超高齢化社会を迎えるわけだが、セルフメディケーション推進の上で、医薬品小売業の果たす役割は少なくない。その一方で、今年1月の最高裁判決に伴い、医薬品ネット販売解禁という波が押し寄せる中で、リアル店舗の生き残りはどうあるべきか──という大きな課題も浮上している。フェア開催を前に、主催する親和会卸営業部会の担当者3氏にお集まりいただき、今回のフェアの概要のほか、流通業の立場から医薬品小売業のあるべき姿など、今後の方向性を語っていただいた。

●「超高齢社会」がテーマの提案企画‐健康情報の発信が生き残りの鍵

──まずは、第31回西日本OTCフェアの概要について、主催する親和会卸の幹事社であります大木の佐藤さんから説明をお願いします。

 佐藤 今回の第31回西日本OTCフェアのメインテーマは「美と健康の発信ステーション」、サブタイトルを「地域と共にいつまでも」としています。われわれ親和会3社としては、西日本OTCフェアに来場いただきましたお客様一人ひとりが、何か一つでも新しい発見や情報を持ち帰っていただけるような場を提供し、少しでも店頭でお役に立てていただきたいとの思いがあります。

 今回のイベント企画につきましては、超高齢化社会をテーマに、親和会3社の提案コーナーを設置します。具体的には、一つ目は「アンチエイジング」をテーマに、いつまでも美しくありたいという願望に対応した化粧品、健康食品を中心に提案を行います。二つ目は「アクティブシニア」をテーマに、ロコモティブシンドローム対策の提案を行う予定です。三つ目は「在宅医療へのニーズへの対応」としての介護食や、口腔ケアの品揃えの充実を提案する予定です。

 このほかのイベントとしましては、出展メーカー様のご協力により、試飲・試食コーナーを展開します。毎回好評の恒例イベントとして、餅つき大会も実施する予定です。さらに、昨年の30周年の際には、懐かしい過去のOTC医薬品等のTVCMの放映を行いましたが、今回は逆に新製品のCM放映を行います。

 来場されるお客様では単独店の薬局経営者も多く、処方箋調剤で忙しく、休みも取れず、各メーカーの新製品TVCMを見る機会も少ないようです。店頭では、そうした新製品CMを見て、購入する人も多いようで、会場では意識づけの意味も込めて、メーカー各社の新製品のCMを放映する予定にしています。なお、昨年のフェアは来場者が約1600人でしたが、今年も同様の来場者を見込んでいます。

 ──親和会3社のテーマは、各卸の分担で提案するということですか。

 佐藤 基本的には超高齢化社会をテーマに、3社でそれぞれアンチエイジング、ロコモティブシンドローム、介護食という部分に関して各社の情報を持ち寄り、協議して取り組みました。各社の卸色の傾向が強くなりすぎないような形としました。3社が一つのテーマに取り組んだということです。

 天野 各テーマに沿った提案棚割が中心です。例えば、販売データに基づいたアンチエイジング関連のサプリメントや、化粧品の棚割を提案します。基本的には各社で持ち寄った案を再度、親和会卸3社で検討しました。

 佐藤 超高齢化社会をテーマとした中で、未病対策としてのセルフメディケーション提案として、病気にならず元気に年齢を重ねるという切り口で考えると、医薬品も重要ですが、医療サポーターや口腔ケア、健康食品、化粧品などの周辺領域も必要な商材だと考えます。そうした商品も医薬品と関連づけて、店頭で訴求するという流れも必要ではないかと思いますね。

 金森 今回のサブテーマの「地域と共にいつまでも」については、医薬品ネット販売の解禁に対して、リアル店舗としての生き残り策の基本として、地域住民とのつながりが重要だと認識しています。薬局・薬店は、いかに来店者に対する情報発信ができるかが、今まで以上にカギになると思います。

 一部のドラッグストア企業でも、ネット販売業者に対する医薬品卸事業を展開するという話もあります。やはりネット販売の解禁は、われわれ卸業としても注視していかなければと思いますね。

 天野 今回は、関西をベースに西日本全域から様々な業態の方々がご来場されます。ぜひとも、ご来場された皆様と共に、今後のヘルスケア市場を盛り上げていきたいと思います。

 ――今回新規に出展されるような企業はありますか。

 金森 今回は、調剤関連機器メーカーの高園産業さんが初めて出展されます。今、調剤薬局ではOTC等に関しても今まで以上に関心を持っておられますが、われわれとしてはそれほどフォローできていない部分もあります。

 そのため、今回のフェアでも案内状を送付しており、多くの調剤薬局の方々にもご来場いただく予定です。その意味では、高園産業さんのような調剤薬局関係者を意識したようなメーカーさんが出展されるというのは、これまでのOTCフェアと違うパターンですね。

●アンチエイジングも期待のカテゴリーに‐OTC市場伸長にスイッチ品を

──最近の売れ筋商品の傾向については、いかがですか。

 天野 富士経済の調査によると、今回のテーマの一つであるアンチエイジングのカテゴリーが期待できるというデータが出ています。2013年度の市場全体では103・2%という状況です。中でもグルコサミンは106・7%、DHA、EPAについては106・5%です。

 一口に生活習慣病予防といっても、骨や関節のサポート、美肌効果、肝機能改善など、訴求内容も多岐にわたっており、ヘルス&ビューティの食品市場では、こうしたカテゴリーが30%強を占めている状況です。

 また、今年度は特定保健用食品(トクホ)のコーラ、杜仲茶などの商材が裾野を広げ、拡大するのではないかと注目しています。

 ──未病、疾病予防対策関連商材が急伸しているということですね。

 天野 元気な高齢者に対して、その人たちの健康維持についてメーカー・卸としてどう対応していくかが課題です。今の団塊の世代の方々は、特に健康に対する関心が非常に高いと思います。そうした中、生活習慣病予防のカテゴリーを訴えることは大切だと思います。最近の高齢者の方は、自分に合ったものであれば、少々高価な商品でも購入するという傾向が高まっています。われわれ卸も、薬局・薬店、ドラッグストア様に対して、そういった商品をアピールできるよう提案していきます。

 佐藤 トクホなどの食品や飲料が売れているというのは、いつまでも健康でいたいという意識が働いているということです。自分の健康状態を把握しておく必要があると思います。その一方で、12年3月の厚生労働省の調査によりますと、40歳から75歳までの特定健診未受診者の数は、全体の43%を占めるようです。さらにその配偶者は20~30%の受診率です。

 日本人の3人に2人が生活習慣病で亡くなっているという現状から、今後はさらにセルフチェックを普及、浸透させることによる、セルフメディケーションの普及と啓発が重要になると思います。そのセルフメディケーションに果たす役割としては、薬局・薬店の存在が今後大きいのではないでしょうか。

 金森 OTCに関してですが、昨年スイッチOTCとして発売された久光製薬の「アレグラ」ですが、花粉の飛散量も多かったこともありますが、OTC市場を伸長させる要因の一つになったと思います。また、鎮痛剤の「ロキソニン」も数字的には随分伸長しています。

 ネット販売の話に戻りますが、ネット販売の解禁により、スイッチOTC化の動きが鈍ることが懸念されるところですね。やはりアレグラなどの登場はOTCの活性化につながったと思います。セルフメディケーションを推進することで、医療費抑制につながるのであれば、積極的にスイッチOTCが上市できる環境が必要だと思います。

 スイッチOTC以外では、二の腕のブツブツを改善する部位特化型の軟膏製剤として、ロート製薬の「ザラプロ」などが好調のようですね。

 天野 昨年度は、花粉症全体の市場が上ブレしているのは事実です。特にアレグラは、医療用でも使用経験のある人が多いこともあり、一般生活者の認知が高かったのかもしれません。

 佐藤 逆に、第1類医薬品から第2類医薬品に変更されたことで売上高が伸長している製品もありますね。例えば、ノバルティスファーマの「ボルタレンAC」などがそうですね。

 天野 久光製薬の「フェイタスZ」も、第1類医薬品から第2類医薬品に変更となったことで、お得意先様からの問い合わせも増えています。

 ──第2類に変更されることで、登録販売者も販売が可能になるということで、販売できる店舗の裾野が広がっているということですね。

 天野 買い回りの場所が増えたということは、消費者にとっては利便性が高まりますね。

 ──一時期はダイエットブーム的に、漢方薬の防風通聖散エキスを配合したOTCが大きく伸長していました。現在、さらに増量タイプが販売されていますが、状況はいかがですか。

 佐藤 ロート製薬さんと、小林製薬さんがそれぞれエキス増量タイプを販売していますが、売れ行きはいいようですね。

●意外と多い“店内刺激”での購買

 ──先ほど話にも上がりましたが、医薬品ネット販売解禁に際して、リアル店舗での差別化など、卸として提案できる支援策などについてはいかがですか。

 天野 卸としての店頭活性化に向けて、一つは売場の活性化と同時に、店舗内コストの削減という提案が必要と考えています。もう一つは、お客様にとって、お店でのお買い物が一層楽しくなれるような、リアル店舗ならではの店づくり提案や、仕掛けのお手伝いが卸の役割ではないかと考えています。結果として、小売店様、メーカー様の売上、利益につながると考えています。

 金森 リアル店舗もネット販売も、ユーザーはある目的を持って活用すると考えられます。やはりネット販売は一方的な情報発信で、それ以上は増えも変わりばえもしないと思います。

 その一方で、リアル店舗の良さは目的買い以外のプラスα(関連商材等)の商品の“ついで買い”ができる点だと思います。その上で対面による情報交換ができ、その中でプラス要素の商品、商材を提供できるため、利用者も満足できるということが、リアル店舗の優位性だと思うのです。

 そうした製品情報などをリアル店舗に提供していくことが、卸の役割だと思います。ただ、問題は価格でしょうね。

 佐藤 ある大学教授が行った買い物客の出口調査によると、非計画購買が76・1%、計画購買が23・9%あるということです。要は、店内刺激によって76・1%の人が購入を決定するということです。

 現状のドラッグストアの売上高構成比では、医薬品は20%を切っていますよね。今はビューティや食品の構成比の方が高いと思うのです。

 今、ドラッグストアは生活基幹業態なのです。それは、最低でも週1回は生活者が店舗に訪れる業態ということです。スーパーマーケットの場合は週に3~4回と訪れると思いますが、ドラッグストアもそうあるべきだと考えます。その意味では、医薬品を中心とした快適な生活をするための品揃えも必要になるのです。

 例えば、かぜ薬を購入しに行った時に、ついでにマスクやティッシュなど関連購買と、お菓子などの衝動購買行動が多いのです。これらは非計画購買になると思います。やはり、店内で購入者を誘発する店頭と、販売員さんとの会話づくりなどで、潜在ニーズを発掘することが大事だということです。

 最近のドラッグストアは専門性を強化したり、食品の構成比率を上げたり、中にはATMを導入して来店回数を上げる努力をされています。ちなみにドラッグストアの平均坪数は150坪でしょうか、また1日の平均来店客数は500~600人くらいだと思うのです。

 それに対して、コンビニは平均坪数約70坪で、来店客数は1000人強です。ドラッグストアの売場はコンビニの2倍以上あるのに対して、客数は半分です。さらにコンビニでは、ほぼ定価販売に対し、ドラッグストアではディスカウントをしています。

 その意味では、常に、新しい商材やカテゴリーを生活者に向けて発信する必要があります。今、超高齢化社会に突入している中で、その年代層を取り込むような提案を、まさに今回のフェアで行う予定です。

●高齢になるほど親身な店舗求める

──現在、医薬品ネット販売のルールが検討されていますが、ネットとの違いはやはり対面だと思います。その中で商品情報を説明することも重要になると思いますが。

 天野 これから地域、エリアに密着ということであれば、高齢者が増える中で、店頭でどれだけのコミュニケーションが図れるかということが、一つの流れになると思います。われわれ卸は、お客様に対して普段使いやすく、近くで便利な地域一番店になるための提案を重ねていくことが必要ではないかと思います。

 佐藤 ドラッグストアの経営者の話ですが、「お客様が継続的に来店する理由はなんでしょうか?」という問いを多くの人にしたところ、「いつも行く理由」としてはポイントや値引きという話は一切なく、圧倒的な回答は「自分のことを知ってくれている」「大切にしてくれている」「自分の欲しいものがある」ということでした。

 ネット販売は確実に高い、重たい、大きい要素のある商品はネットで購入するのでしょうが、店頭はサービスがついていくものですから、お客様が高齢者となってきた場合には、迷わず親身に話をしてくれる店舗に行くと思います。われわれ卸3社は、そういう店舗に最大の支援をしていきたいと思います。

 金森 昔は、かかりつけ医院というものがあり、自分の名前を覚えてくれているような医師もいました。最近は、そういう医院が少なくなっている中で、かかりつけ薬局、ドラッグの存在は必要になると思います。まずは、地域のプライマリーなケアの一端を担っていただく。それを、テーマの中にある『地域と共にいつまでも』という部分につなげていきたいという思いがありますね。

●フェアを新たな発見の機会に

 ──では最後になりますが、第31回を迎える西日本OTCフェアへの誘いのコメントをお願いします。

 佐藤 今回の西日本OTCフェアは、先ほども申しましたテーマの通り、美と健康の発信ステーションでもありますので、ぜひ多くの情報を持って帰っていただきたいです。われわれ主催卸も、メーカーさんの協力を得て、OTCや健康食品の情報を提供したいと考えています。毎年、卸3社で運営しているのはこのフェアだけです。

 天野 3社の共通した思いは、できるだけ多くの関係者にフェアに来ていただき、店頭の活性化につながる情報や店頭展開の具体案を、メーカー様と共に提案してまいりたいということです。一つでも二つでも、何か新しい発見を提供できればと考えています。

 金森 250社に及ぶメーカー情報の中には、必ず将来を左右し得る商材や情報が存在していると確信しています。また、これだけのメーカー様が一堂に会する機会は滅多にないと思います。日々の業務でお忙しいかと思いますが、ぜひ来場いただきたいと思います。

薬事日報より

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