製造技術の底上げがテーマ‐日本CMO協会 笠井会長に聞く

若手人材の育成に注力


 

日本CMO(医薬品製造受託機関)協会は、今年で5年目を迎える。国内医薬品市場の産業構造変化を背景に、製薬企業が医薬品製造拠点の整理統合を進める中、CMOに対する外部委託比率は高まっており、今後も医薬品市場平均を上回る成長が期待されている。その一方、海外への製造拠点の移転も加速し、国内の医薬品製造で空洞化も懸念されている。笠井隆行会長は、“医薬品製造技術の底上げ”の意義を強調し、治験薬製造や製剤開発、バイオ医薬品などに対応する重要性を指摘。「日本人が得意とするモノづくりの高い技術を生かし、国内で医薬品製造技術を発展させたい。われわれCMOが医薬品の供給・品質に対する安心を維持していく」と語った。

 

受託市場は二桁成長続く‐製剤で国内2500億円


 

――国内CMO市場の現況は。

正確な統計データがなく、推定の域を出ていないが、世界の製剤・包装のCMO市場は約2兆円、日本はおよそ10分の1で2000億~2500億円程度が妥当な数値だろう。数字の根拠としては、世界の医薬品市場が約100兆円で、製造原価が25兆円、そのうちの約2割となる5兆円が受託製造にまわっているのではないか。そこから製剤と原薬が半分ずつを分け合うという形だ。

製薬企業からCMOへの外部委託は、固形剤・注射剤共に、確実に増えている。2005年の薬事法改正以降、CMO市場の二桁成長が続いており、医薬品市場の成長率を上回る。

――この5年の歩みについて。

今年11月には、5周年の記念式典を開催する予定だ。西村憲治前会長が設立当初に仰っていた「小さく産んで、大きく育てる」という言葉を体現するかのように、少しずつ協会に参加する企業も増え、大きくなっている。設立時は会員社が18社だったが、今年4月1日には賛助会員を含め27社になる。10社近くも増やすことができたのは、われわれの活動が意義のあるものと感じていただけているからと理解している。

会員社が共に研鑽するのが最大の目的で、これまで医薬品の製造・品質管理基準(PIC/S GMP)や製造におけるトラブル事象などで情報を共有し、契約書のひな形や損害賠償保険制度もつくってきた。いい意味で切磋琢磨し、底辺が広がってきたように思う。

 

PIC/Sの準備整う‐GDP対応も検討課題


 

――協会活動として力を入れていきたい領域は。

特に力を入れているのが「医薬品製造技術の底上げ」。CMO協会内の「技術・人材育成委員会」では、若い人材の育成に取り組んでいる。新薬メーカーからCMOに生産現場がシフトしていく中で、生産技術がCMOに蓄えられていかないといけないと思っている。

幸い、製剤機械メーカーさんが賛助会員という立場で加わっていただいており、業界の垣根を越えてタッグを組み、製剤・包装技術に関して、製造プロセスの各工程における機械の原理原則や、実際の業務、トラブル事例の対応などを学べる技術教育をスタートした。「座学」と「オペレーション」を一緒に学べるといった点は、参加者からも好評いただいている。

――PIC/Sについての取り組み状況は。

13年8月に厚生労働省から施行通知が出る前の、同年5月に委員会を立ち上げ、PIC/S GMPに関する情報収集と、CMOとしての課題抽出と対応策を検討してきた。

その結果、会員社共通の課題と各社ごとの課題を整理し、それぞれ具体的な取り組みを始めている。

 ――医薬品流通に関する基準(GDP)の対応も重要性が増している。

CMOの受託業務はGMPが主体であり、GDPに関しては全てで絡む話ではないが、原材料購入や入荷試験などでわれわれが関与する部分もあるので、製造・販売を担う依頼元としっかり情報共有し、抜け落ちがないようにしたい。

そのためには、責任領域を明確にし、委託元が管理すべきところ、CMOが管理すべきところを品質協定書に盛り込み、しっかり対応していく必要があるだろう。サプライチェーン全体で考えると、GDPも検討課題の一つといえる。

 ――バイオ医薬品への対応は。

グローバルでは、バイオ医薬品製造でCMOが登場してきている。しかし、日本は、日本発バイオ医薬品が少ないこともあり、海外に比べ、製造に関しても遅れているのが現状。ようやく国内でも開発が進みつつあり、これからが勝負になるだろう。

ただ、製造設備について莫大な投資が必要になるため、CMOとしても一定の事業ニーズが生まれないと、なかなか踏み出せない難しい面もある。低分子医薬品製造とは技術分野も異なり、時間がかかる。また、バイオ医薬品は薬価が高い反面、CMOビジネスで重要な物量ベースではそんなに大きくない。

ただ、海外同様、いずれはCMOが上流の培養・精製工程、無菌充填の製造プロセスに踏み込み、外部委託されるようになっていくと思われる。国内でのバイオ医薬品市場が拡大するためには、われわれがニーズを掘り起こし、海外からの情報収集や新たな技術の取り込みにチャレンジしていかないといけない。

 ――安定供給に対応していくための事業継続計画(BCP)に対しては。

協会設立後、間もなく発生した東日本大震災が起こったが、十分な活動ができず、忸怩たる思いがあった。その教訓を生かし、BCPのひな形をつくった。

具体的には、製薬企業が代替製造拠点を検討する際に、協会ホームページ上から会員社が固形剤や注射剤などどういう剤形を製造可能なのか、商業生産や治験薬製造体制なども含め、わざわざ電話しなくても、確認できるようにした。また、CMO側で製品供給不安が起きた場合に、会員各社が製造各工程でどういう種類の製造設備を保有しているかを共有する体制を整えた。もちろん、依頼元の製薬企業の同意と当局認証が必要となるが、万が一の有事には相互扶助の観点で、医薬品製造を受託したCMOから、別のCMOへの再委託が可能となる。

 ――今後の会員数拡大に向けては。

まだまだ未入会のCMOがあるので、もっともっと入会していただけるよう、取り組んでいきたい。賛助会員には、今年4月に包装会社やエンジニア会社などが入会予定であり、業態を問わず、CMOビジネスの拡大に賛同する企業に対しては、広く扉を開けているのがわれわれのスタンスだ。本音ベースで話し合える業界団体にしていきたい。

 

“真の製造屋”になる


 

――CMO協会として目指す姿は。

医薬品製造の外部委託比率は、現在2割程度をいわれているが、10年目を迎えている頃には3割に到達しているだろう。他産業を見ていると分かるように、将来的には4割、5割が視野に入ってくる。

「餅は餅屋」というように、われわれが真の製造屋になり、任せて大丈夫といわれるようになっていきたい。委託元が研究開発・販売に集中できるようになり、われわれが製造に関しては専門性を生かした提案ができるようにしたい。医薬品製造受託のCMOから、技術開発、製造プロセス開発といったCDMOビジネスにも踏み込んでいかないといけない。

まだまだ伸び代があるCMO業界で、グローバル展開も一つのテーマだ。製薬業界では、製剤や包装拠点に関して海外に移転する動きがあるが、CMOの責任として、医薬品製造技術を日本に残し、発展させていく。供給・品質に対する安心を維持していくために、貢献していきたい。

 

薬事日報より

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